事業を展開していく際に重要となる資金調達。もちろん、自己資金で十分な経営をしていければそれが一番なのですが、起業するタイミングや起業したての頃はなかなかそうもいきません。
また、仮に順調に経営をしていたとしても、事業拡大のために資金が必要となることがあります。
一般的には「お金を借りること」はあまり良いイメージでは語られませんが、こと経営に関しては決して悪いことではありません。
企業運営が好調であれば、設備投資などにより大きな資金を投入することで、回収する金額も大きくなります。これは、レバレッジ(てこ)効果と呼ばれています。
これをうまく利用することで、短期間でより事業を大きくしていくことも可能です(もちろん、無計画な借金は勧められませんが)。
さて、実際に金融機関から事業性資金の融資を受けようとした場合、使いやすいローンとしてビジネスローンという融資商品が用意されています。
一方で、商品として用意されているローンではなく、個別に相談をして融資の可否やその金額を決める、一般的な銀行融資も利用できます。
この記事では、これを銀行プロパー融資と呼んで区別することとします。
さて、これらの違いはどこにあるのでしょうか? それぞれ解説していきましょう。
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それぞれの違いを表でチェック!
詳しい解説の前に、まずは表を使ってローンを比較してみました。こちらで大まかに特徴を捉えておいてください。
ビジネスローン | 銀行プロパー融資 | |
借入先 | 銀行・消費者金融 | 不動産担保が必要 |
融資額 | 比較的少ない | 事業次第で数億円 |
審査スピード | 即日融資が可能 | 数ヶ月かかることも |
審査のハードル | 比較的通りやすい | 厳しい |
金利 | 高い(10~15%) | 比較的低い |
担保 | 原則不要 | 必要なことも |
保証 | 原則不要 | 必要なことも |
事業歴 | それほど問われない | 開業から数期必要 |
プロパー融資は低金利だが審査が厳しい!
ビジネスローンと比較した場合、銀行プロパー融資の最大のメリットは「金利の低さ」です。
ビジネスローンは、スピーディな借入が期待できるローンとして、事業主にとって非常に使いやすいものですが、一方で金利が高めに設定されており、短期間でも総返済額のうち、利息が占める割合は高いものとなります。
銀行プロパー融資は、それに比べてかなり金利が安く、ビジネスローンの場合10%を超えるものも多く存在するのに対し、一桁台(5%程度)の金利で融資を受けられます。
さらに、ビジネスローンでは借入限度額が300〜1,000万円程度です。
ですが、銀行プロパー融資では、(事業の規模や経営状況にもよりますが)数億円まで借入できることもあります。
なぜ、銀行プロパー融資ではこれほどまでに低金利で高額の融資が可能なのでしょうか?
それは、審査の際、ビジネスローンとは比べ物にならないほど、深いところまで確認し、「この事業主、法人であればしっかりと返済してもらえる」という確認をするからです。
具体的には、財務諸表の確認はもちろん、経営方針や今後の見通しについてもチェックをします。
担当ひとりが判断するのではなく、何人かの稟議を経て、融資をするかどうかを最終決定しています。
こうした厳格なフローがあるからこそ、低金利で高額の融資が実現するのです。
つまり、ビジネスローンに比べて審査が長く、厳しいということになり、これが銀行プロパー融資のデメリットとなります。
時間にして数ヶ月かかることもありますので、「今すぐ資金が必要!」というような状況には適さないローンです。
プロパー融資が使える事業歴は?
さて、銀行プロパー融資の審査が厳しいことは前述した通りですが、果たして自社にどれくらいの事業歴や信用力があれば通るのでしょうか?
これは、融資を受ける金額によっても違いますので、残念ながら一概には言えません。
銀行も審査の詳細は一般に公開しておらず、確認しようもないのです。
ただ、例えば開業資金のために融資を依頼しようとしても、間違いなく審査は通りません。
プロパー融資では申し込み時の書類として財務諸表の提出を求められます。
これは、損益計算書や貸借対照表から、過去の経営状態を見極めて融資の可否を決定しているということを意味しています。
これから起業する個人事業主や法人の場合、当然、財務諸表などは提出できませんので、結果として開業資金としての融資はしてもらえないということになるのです。
銀行プロパー融資を受けるためには、最低でも開業から2〜3年は必要と言われています。
どのくらいの信用力が必要?
さて、事業歴が十分にあるとしたら、銀行は財務諸表のどこを審査しているのでしょう。
まず、基本的には「すぐに潰れないかどうか」ということを見ています。
例えば、自己資本比率。
これは総資本がどれだけ自己資本で構成されているかという比率ですが、資金ショートの可能性をチェックするのに重要な指標です。
また、同様の理由で流動比率(流動資産/流動負債)、当座比率(当座資産/流動負債)、固定長期適合率(固定資産/(自己資産+長期借入金)なども確認されています。
そのほかにも、会社の利益効率を計るために総資本純利益率をみたり、収益性をみるために売上高対総利益率を確認したり…と、審査には財務諸表から確認できるあらゆるデータが利用されているのです。
単純に「利益が出ているから」といったような根拠だけで融資の可否が判断されているわけではありませんので、注意してください。
銀行プロパー融資の申し込みにあたっては、借りる側も少なくとも財務諸表を見ることのできる知識を持っておいたほうが無難です。
担保や保証人が必要な場合も
銀行プロパー融資には、万が一、貸し倒れが起きてしまった際、銀行が100%責任を持つという性質があります。
そのため、審査が非常に厳しくなることは前述した通りです。
銀行としてはそういったリスクは絶対的に避けたいため、借り手に担保や保証人を求めてくることがあります。
ビジネスローンは無担保・無保証が基本ですので、この点は大きな違いです。
このように、銀行プロパー融資は、審査や担保、保証人、事業歴について厳しいハードルを持っているからこそ、低金利で高額の融資ができるのです。
また、仮に審査に通ってたとしても、その企業の状態によって借入可能額や金利が違うということを覚えておいてください。
まとめ
ここまで読んでくれば、ビジネスローンと銀行プロパー融資、それぞれどんな時に利用すれば良いのかが見えてきたことでしょう。
銀行プロパー融資に適しているのは、ある程度事業歴のある場合で、財務諸表から見られる経営状態が良く、高額な資金が必要な時です。
一方、ビジネスローンは、直近で300〜1,000万円程度の金額を用意する必要に迫られているケースで利用するのに適しています。
ただし、ビジネスローンには様々な種類があり、中には1,000万円を超える融資を受けられ、さらに審査にかかる時間も比較的短いものもあります。
そのため、銀行プロパー融資に申し込もうと考えた際は、必ず比較対象として自社で利用できるビジネスローンを調べておくことが大切です。
それぞれの金融機関がラインナップするビジネスローンの詳細はランキングページで確認できますので、よくチェックして自社に適したローンを選んでください。
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