個人事業主が損害賠償を受けた際の対応方法と計上方法まとめ

会社経営の基礎知識
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ビジネスを行っていると、事業の規模や従業員数、法人かどうかに関わらず、それによって不利益を被った人から損害賠償の請求を受けるリスクは存在します。

では、実際に損害賠償を請求されたら、どのように行動すれば良いのでしょうか?

支払った損害賠償は経費として計上することはできるのでしょうか?

それぞれ詳細に解説していきます。

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訴訟を起こされた際の流れ

損害賠償という言葉を見ると「訴訟」をイメージする方も多いと思いますが、訴訟の有無に関わらず損害賠償は成立します。

「あなたのせいで○○円損害を被ったから支払ってください」という話が来たならば、それはすでに立派な損害賠償請求です。

もちろん、納得がいかなければ応じる必要はありません。

その場合、相手方は内容証明郵便という形で書面を送ってくることでしょう。

内容証明郵便には「何月何日までに○○円を支払ってください。そうでない場合は法的手続(訴訟)をとります」と書かれているのが通常です。

このように書面で請求されると初めての方は慌てるものですが、だからといって、これに返事をしなければならないという義務もありません。

ただし、後に行われるかもしれない訴訟のことを考えれば、支払いに応じない合理的な理由を明確にしておいた方が有利に働きますので、きちんと返信しておくようにしましょう。

書面でもお互いに譲らない状態であれば、訴訟以外に弁護士を通じた示談交渉や、紛争解決センターでの話し合いなどの方法があります。

ここで折り合いがつけば訴訟となることはありません。

話し合いに納得するかどうかはお互いの自由ですし、損害賠償を請求する側が「訴訟する」ということを止めることはできませんので、ここまでで折り合いがつかない場合の最終手段として「訴訟」に進むことになります。

訴えられた時

原告(請求する側)の手続きが進むと、裁判所から被告(請求される側)に訴状や呼出状といった書類が送られてきます。

これまでの書面や話し合いとは違い、裁判所からの書面は絶対に無視しないようにしてください。

無視し続ければ、原告側の主張がそのまま認められることになり、裁判所が決めた賠償の内容に従わなければ「強制執行」されることになります。

訴訟にあたって弁護士を雇うかどうかは、被告の自由です。

訴訟というと弁護士同士が言論バトルをするというイメージがある方も多いのですが、そもそも訴訟は本人同士がするべきものであり、弁護士はあくまでも代理人です。

自分の主張が第三者的に見ても合理的だと考えているのであれば、特に弁護士を雇う必要はありません。

ただし、その合理性を第三者の目線で確認するためにも、事前に弁護士に相談をしておくことをおすすめします。

また、当然法律に詳しい弁護士を雇った方が、裁判はより有利に進められるということも付け加えておきます。

一般常識と法律は、実は乖離している部分も多いものです。

だからと言って法律を一から学ぼうとしても訴訟には間に合いませんので、弁護士を利用する、ということです。

訴訟の進み方

なお、実際に裁判所で証拠を出し合いながら言い争うことを「口頭弁論」と呼びます。

口頭弁論の回数に決まりはないため、裁判所が必要だと判断すれば何回でも行われます。

なお、第一回の口頭弁論の日にちは、被告の意見を聞くことなく決まります。

そのため、第一回への出欠が判決に大きく影響することは稀です。

ただし、欠席の場合でも「答弁書」は必ず提出するようにしてください。

これを怠ると、原告の主張が認められ、被告は敗訴してしまいます。

口頭弁論では、いかに自分の主張が合理的であるかを示すことが重要ですので、そのために必要な証拠等は十分に準備して臨みましょう。

通常、複数回の口頭弁論の後に、判決が降りることになります。

反訴の提起

損害賠償の元となった事柄によっては、訴訟中に被告から原告に対して訴訟を起こす「反訴」が可能であるということを覚えておきましょう。

例えば、交通事故等、双方に損害があるようなケースで利用できるものです。

相手方には確かに損害がある。

しかし、こちらにも同様に損害があるので、一方的にそれを請求されるのは不合理だという考え方から来ています。

反訴を提起する場合は、「反訴状」を裁判所に対して提出することになります。

自らに負い目があるようなケースでは、反訴をするのをためらうような方もいます。

こうした方は、裁判に対して「善悪を決める場所」というようなイメージがあるようです。

ただし、実際には民事訴訟はそういった類いのものではありません。

どちらにも正義があり、それぞれに言い分がある。

それが当事者同士では結論が出せないから、裁判所に決めてもらおう、というのが民事訴訟です。

主張したいことがあれば、臆せず主張するようにしましょう。

その考え方が合理的でないのであれば、裁判所がそれを認めないというだけの話です。

加害者として支払った金額は経費になるのか

民事訴訟は「どちらかが完全に勝訴した」というようなケースばかりでなく、現実には「痛み分け」となるようなことも多くあります。

「損害賠償のうち8割は認められないが、2割は支払え」というような場合です。

判決が出た以上は、その分の損害賠償を支払うことになるのですが、では支払った金額は経費になるのでしょうか?

これは、その原因が事業主にあったのか、従業員にあったのかによって異なります。

交通事故を例に、考えてみましょう。

事業主が加害者として支払った場合

個人事業主の方が交通事故を起こし、事故に起因する損害賠償を支払った場合、それが経費として認められるのは、

  1. 業務に関連した事故であること
  2. 故意または重大な過失がないこと

という2つの要素を満たす場合です。

①については当たり前のことですが、事業に関係なく、例えばプライベートの旅行中に起こした事故に伴って支払った損害賠償は、経費とは認められません。

②について、故意とは意図的に行ったもののこと。つまり「わざと」したこと。

過失とは、本来必要な注意を怠ったということで、交通事故の場合であれば、例えば前方を十分に確認していなかった場合に重過失と捉えられる可能性があります。

従業員が加害者で、事業主がそれを負担した場合

個人事業主として従業員を雇用している場合、その従業員が交通事故を起こすようなケースも考えられます。

この時、経費として認められるのは

  1. 事業主に故意または重大な過失がなく、業務に関連した事故である場合
  2. 事業主に故意または重大な過失がなく、業務には関連しない事故だが雇用主の立場上やむを得ず負担した場合

のいずれかです。

これ以外のケースでは経費とは認められませんので注意しましょう。

まとめ

損害賠償請求について、直ちに応じるかどうかは自由ですが、やはり請求の根拠が合理的である場合は支払う必要が出てきます。

その際、支払う資金的な余裕があれば良いのですが、こうした経営にとってマイナスの出来事は、得てして状態が悪い時に起きるものです。

賠償額を支払ってしまうと経営が一時的に立ち行かなくなるような時は、簡単な審査でスピーディに借り入れのできるビジネスローンを、つなぎ資金として利用するという手もあります。

損害賠償の支払いで悩んだ際は、ビジネスローンを検討してみましょう。

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