過剰在庫解消は、資金調達並みの効果がある! 発生する原因と対策を伝授します
過剰在庫を解消することができればキャッシュフローが改善するため、資金調達並みの効果があります。
過剰在庫が多ければ多いほど会社の資金繰りに悪影響を及ぼします。
過剰在庫が売れるまでは仕入れや生産にかかった資金を回収できず、長く在庫を保有すればするほど在庫保管費用がかかるからです。
不要な在庫をできるだけ減らすことができれば、「仕入れや生産にかかった費用」をすばやく回収し、なおかつ「在庫保管費用や管理費用」を削減できるので、資金繰りを改善することができます。
過剰在庫を持つデメリットは、以下の4つです。
- 商品価値の低下
- 在庫保管費用の増加
- 販売機会の損失
- キャッシュフローの減少
過剰在庫を持つとこのようなデメリットがありますので、原因を特定し、対策を考える必要があります。
ここでは、過剰在庫が発生する原因と対策について詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてください。
過剰在庫を抱えていることのデメリット
過剰在庫は、会社にとってさまざまなデメリットがあります。
必要以上の在庫を持っていると資金繰りに悪影響を及ぼしますので、過剰在庫を抱えないようにすることが大切です。
過剰在庫を抱えるデメリットは以下の5点です。
商品価値の低下
過剰に生産したり、仕入れたりして過剰在庫として残ってしまった製品は、時間が経つほど品質が劣化したり、市場のニーズと合わなくなり陳腐化してしまいます。
こうなると、在庫を減らすためには値下げをして安売りをしたり、最悪の場合は廃棄する必要があります。
安売りや廃棄をすると、見込んだ利益が得られず、資本原本を回収できないだけでなく、それまでの保管費用や廃棄費用がすべて損失となってしまいます。
商品が時代遅れにならないうちに、スムーズに販売していく必要があります。
在庫の保管費用の増加
過剰在庫を抱えていると、在庫の保管費用も増加します。
在庫の保管や管理には、下記のような費用がかかります。
- 倉庫維持費(倉庫の貸借料・光熱費・固定資産税・保険料)
- 入庫における輸送費や人件費
- 出庫における輸送費や人件費
- 在庫の処分廃棄費
また、過剰在庫を保管するには、保管場所だけではなく適切な管理も必要です。
温度や湿度管理などを怠ると品質劣化が早くなるため、在庫の品質を保つためにも管理に費用をかける必要があります。
これら2つの費用は在庫が売れるまで、もしくは廃棄するまで継続的にかかる費用となるため、経営に悪影響を及ぼすことになります。
販売機会の損失
在庫を増やしておくと急な需要の増加にも対応することができます。
しかし、過剰在庫を抱えていると、「今一番売れる商品」の販売機会を奪ってしまうこともあります。
古い過剰在庫から売っていこうとすると、結果的に売上が伸びず、利益が上がらない場合もありますので、過剰在庫をできるだけ減らすことが大切です。
キャッシュフローの減少
過剰な在庫であっても貸借対照表では「資産」に分類されるため、会計上は問題ありません。
しかし、在庫を仕入れたり生産するためのコストを回収できていないことになるため、現金が減るのでキャッシュフローは悪化します。
貸借対照表上は、現金も在庫も「資産」ですが、このふたつの意味合いは大きく異なります。
現金が潤沢にある場合は、新しい商品を仕入れて販売したり、設備投資に資金を投入するなど、前向きな経営をすることができます。
過剰在庫を抱えたままではキャッシュフローが悪化するため、経営戦略の幅もせまくなりますし、最悪の場合は資金繰りが悪化し、黒字倒産してしまうこともあります。
過剰在庫が発生してしまう原因
過剰在庫は企業にとって大きなリスクとなります。
その原因を理解し、過剰在庫が発生しないように注意する必要があります。
過剰発注
商品が足りなくなると販売機会を逃してしまい売上が低下するため、特に販売担当者は多めに仕入れる傾向が強くなっています。
欠品は売上の機会を奪ってしまうため、欠品が出ないように在庫管理をすることは大切なことです。
が、在庫を多くすると、売れ残って過剰在庫になるリスクが高くなります。
また、仕入れ先が仕入れ量に応じて割引をしてくれる場合は、仕入れ値を安く抑えるために大量発注をすることもあります。
ただ、それが過剰在庫になってしまえば、いくら仕入れ値が安くてもコストの方が大きくなってしまいますので注意が必要です。
在庫管理
在庫管理を徹底して行うことができていないと、過剰在庫が発生してしまう可能性が高くなります。
在庫の量を決めるためには、一般的には下記をもとにした在庫計算を行います。
- 商品の需要
- 調達期間
- 回転率
- 安全在庫量
しかし、この計算をもとに在庫管理をしても、商品特性や市場動向などによっては過剰在庫になってしまう場合があります
実態に即した在庫量を導き出すためには、様々な情報を元にした自社ならではの調整をすることが大切です。
この調整がうまくいくようになれば、それが自社の在庫管理ノウハウになります。
また、倉庫内のロケーション管理も重要です。
どの商品がどの場所にあるかというロケーション管理が行き届いていないと、出庫作業のときに商品を探す時間がかかってしまいます。
その結果、注文を処理して在庫を消化するスピードが鈍り、過剰在庫が増える原因のひとつとなります。
返品の増加
在庫管理をしっかり行っていても、返品が多く過剰在庫になってしまうこともあります。
返品は予測しにくいものですが、返品が多くなった場合は以下のような原因が隠れていることがあります。
- 商品の機能に問題がある
- 商品がユーザーの抱いていたイメージと違う
返品は傷や汚れで販売にまわせないものもあり、過剰在庫になりやすいという特徴があります。
返品が増加してきたら、その原因をしっかり分析し、少しでも返品を減らすような対策を行いましょう。
過剰在庫を減らす方法
過剰在庫を減らすには、まず過剰在庫の量をしっかりと把握したあと、在庫が積みあがってしまう原因を分析することが大切です。
原因を分析して対策を立て、検証を行うというサイクルを継続することで、過剰在庫を減らすことができます。
過剰在庫の定義づけ・可視化
まず「どの在庫が過剰在庫にあたるのか」を定義づけし、過剰在庫がどれくらいあるのかを把握します。
そして、倉庫の中を整理して実際に過剰在庫を目に見える状態にし、スムーズに出庫できるようにしておきます。
ボトルネックの原因分析
ボトルネックの部分、つまり過剰在庫がたまる原因を分析します。
多くの場合、さまざまな原因が複雑に絡み合っていますので、それらの原因の中で「何が過剰在庫を生み出している真因なのか」を把握していきます。
まず、関連する全部門(営業や工場、配送センター、購買など)から幅広い人員を集め、できるだけ色々な角度や視点から問題点をピックアップし、収集します。
そして、それらの原因が何であるかをひとつずつ掘り下げて整理し、収集した事実の因果関係を明確にします。
そして、「なぜ、そうなるのか」を繰り返し、真因を特定します。
対策の立案と実行
原因分析で見つけた真因(問題の核)ごとに、どうやってそれを解消していくのか、という解決の方向性を検討します。
方向性が定まったら、意思決定者に報告を行います。
そして、その方向性で良いと承認を得られたあとに具体的な対策方法を立案し、実行します。
結果検証および改善
対策を実行する前と後を比較し、効果があったかどうかを検証します。
効果が出ていないと判断される場合は、対策方法を変更したり、真因が間違っていないかをもう一度皆で検討します。
このサイクルを、過剰在庫が削減できるまで繰り返します。
まとめ
過剰在庫を減らすことで、キャッシュフローが改善され、資金繰りがスムーズになります。
企業経営においては、資金繰りがうまくいくかどうかが重要な問題です。
過剰在庫が積みあがるほど、現金が入らず、費用ばかりがかかってしまうという悪循環に陥ってしまいます。
過剰在庫が増え出したら、早急に原因究明を行い、過剰在庫がたまる前に対策を立案し、実行するようにしましょう。