個人事業主としてビジネスを始めたり、新しく法人を立ち上げたりした際に悩みがちなのが資金管理です。
顧客が増えるほど入出金の作業は煩雑となり、また振込に関しても1回ごとに数百円の手数料がかかったいたのでは、コストがかさんでしいます。
そんな時に便利なのが、ネット銀行のビジネスアカウント。
大量の振込を1度にまとめて行えることや、1アカウントごとに複数の口座が開設できて顧客ごとの金銭管理が楽になるなどのメリットがあります。
ここでは、そんなビジネスアカウントの中でも人気の「PayPay銀行」が取り扱うビジネスアカウントの特徴やメリット・デメリットについて紹介していきます。

口座開設の際に気になる疑問点まとめ
まずはPayPay銀行のビジネスアカウントを開設する際に浮かびがちな疑問点を簡単に解説していきます。
開設までは何日くらいかかる?
アカウント開設の流れは
- 申し込みフォーム入力
- 必要書類送付
- キャッシュカードが届く
- トークン(ワンタイムパスワード生成機)利用登録
- 入出金が可能に
となっています。
このうち、②の書類送付から③のキャッシュカードが届くまでに、2〜3週間ほどの期間が必要となります。
個人の口座と違って申し込んだらすぐ開設とはいきませんので、早く利用したい場合は事前に申し込みと書類送付を済ませておくようにしましょう。
任意団体でも申し込みはできる?
任意団体とは、例えば町内会やサークルなどのコミュニティのこと。
PayPay銀行のビジネスアカウントなら、任意団体でも申し込み・アカウント開設は可能です。
ただし、一般的な法人・営業性個人とは違った本人確認書類を提出する必要がありますので注意してください。
任意団体の必要書類
- 活動内容が確認できるホームページ
- 団体の規約
- 担当者の本人確認書類
個人事業主でも申し込みはできる?
個人事業主でも申し込み・アカウント開設は可能です。
申し込みの際は「営業性個人のお申し込みはこちら」と書かれた部分をクリックすれば、申し込みフォームの入力画面に進むことができます。
個人事業主の必要書類
- 本人確認書類
- 業務内容の確認できるホームページ
- 開業後半年以内の場合、上記ホームページに加えて下記(A)のいずれかの書類
- ホームページを持っていない場合、下記(A)に加えて(B)のいずれかの書類
(A)
- 個人事業開業届出書(控)
- 青色申告書(控)
- 確定申告書(控)
- 国税または地方税の領収書または納税証明書
- 個人事業開始申告書(控)
(B)
- 各行政機関発行の許認可証
- 会社案内、パンフレット、チラシなど
※資料が用意できない場合は概要フォーマットを印刷の上、事業内容の詳細を記入して提出
バーチャルオフィスの住所でも申し込みはできる?
PayPay銀行では、ビジネスアカウントの条件について「住所がバーチャルオフィスでないこと」等の文言はないため、申し込み自体は可能と考えられます。
しかしながら、ビジネスアカウントは個人口座と違って「申し込めば誰でも作れる」というものではなく、銀行側の審査に通過して初めて開設できるもの。
審査の上でバーチャルオフィスが不利になることは否めません。
バーチャルオフィスで申し込む際は、その点を十分理解しておきましょう。
銀行印は必要?
ビジネスアカウントとはいえ銀行口座を開設するわけですから、銀行への届出印は必要です。
法人の場合は印鑑証明も提出する必要がありますが、営業性個人(個人事業主)であれば認め印でも受け付けてくれます。

口座開設後に気になる疑問点まとめ
ここからは、ビジネスアカウントを開設した後に不安になりそうな疑問点を紹介していきます。
振込は即時反映されるの?
当日指定の場合、振込は15時までで当日中入金となります。
なお振込予約は32日先まで受け付けており、タイミングは「指定日の9時以降に順次受付(振込先の金融機関により異なる)」となります。
土日でも振込の反映はされるの?
土日、祝日、12月31日~翌年1月3日は金融機関の専用ネットワークが休止するため、他機関への振込自体ができなくなります。
このタイミングで振り込もうとすると、振込予約を利用しなければなりません。
当日の送金は何時まで?
PayPay銀行の口座から、同じくPayPay銀行の口座へお金を送る「送金」の場合、当日指定は23時59分までの受付で即時入金となります。
なお振込予約は32日先まで受け付けており、反映されるタイミングは「指定日の早朝」となります。
他行への振込手数料はいくら?
前月の預金平均残高が3,000万円以上の場合、PayPay銀行宛・他金融機関宛の振込あわせて月5回まで無料です。
それ以外は振込金額3万円未満で172円、3万円以上では270円がかかります。
PayPay銀行同士の送金手数料は?
こちらも前月の預金平均残高が3,000万円以上の場合、PayPay銀行宛・他金融機関宛の振込あわせて月5回まで無料。
それ以外は一律一回につき54円かかります。
口座の維持費はかかるの?
口座を持つことについて、維持費や管理手数料などはかかりません。
ただし、大量の振込を一括で行える「WEB総振」を利用するには別途月額利用料1,080円がかかります。
過去の明細を見ることはできるの?
過去5年間分であれば、インターネット経由で取引明細を確認することが可能です。
5年を超える明細は1通につき324円で発行してもらうことができます。
ですが、手続きには郵送期間を含めて10日程度かかるので注意してください。
どこのコンビニでもお金を下すことはできる?
入出金に利用可能なATMとしては、セブン銀行、イーネット、ローソンATM、ゆうちょ銀行、三井住友銀行があります。
コンビニベースでは、セブンイレブン、ファミリーマート、スリーエフ、ローソン、ナチュラルローソン、ファミリーマートが利用可能です。
入出金の手数料は毎月1回までそれぞれ無料。
それ以降も3万円以上は無料。
3万円未満であれば、ゆうちょ銀行ATMで1回につき324円、それ以外のATMは162円となっています。
VISAデビットカードに関する疑問まとめ
PayPay銀行で口座開設すると、無料でVISAデビット付キャッシュカードを受け取ることができます。
ここからは、そんなカードの使い勝手に関するQ&Aをまとめます。
paypalでクレジットカードとして使えるの?
日本ではあまり馴染みのない「paypal」ですが、海外、特にインターネット通販では主流の決済方法です。
事前にpaypalにクレジットカード情報を登録しておくことで、通販サイトではIDとパスワードを入力するだけで決済を終えることができます。
通常、paypalを利用するためにはクレジットカード情報を登録しておく必要があります。
これをVISAデビットカードでも代用することができます。
当然、PayPay銀行のVISAデビット付キャッシュカードも利用可能ですの。
ですので、クレジットカードを持っていなくても安心して買い物をすることができます。
「売上予約」の経理処理はどうしたら良いの?
PayPay銀行のVISAデビット付キャッシュカードを利用していると、明細の中に「売上予約」という名目で金額が引き落とされていることがあります。
デビットカードを利用したことのない方は戸惑ってしまうかもしれませんが、デビットカードを利用して買い物をすると、取引明細には「売上予約」として反映されます。
例えばデビットカードで会社の備品を購入した場合、その備品の金額と売上予約の金額は一致しているはずです。
このケースでは、経理上は備品として処理しておけば問題ありません。
購入したものが経理上、何に計上できるかを考えて、通常通りの処理をしましょう。

PayPay銀行のメリット・デメリットまとめ
最後に、PayPay銀行のビジネスアカウントを利用するメリット・デメリットをまとめていきます。
PayPay銀行のメリット
メガバンクに比べて手数料が安いところが、PayPay銀行のビジネスアカウント最大の魅力。
例えば、メガバンクでは法人口座の月額料金として2,000円程度取られますが、PayPay銀行の場合は無料です。
また、振込手数料についてもメガバンクでは500〜750円程度取られるところ、PayPay銀行では172〜270円。
しかも、前月の預金平均残高が3,000万円以上の場合、月5回まで振込手数料はかかりません。
昼夜問わずに働く方にとっては、24時間365日対応しているところも大きな利点。
ペイジーにも対応していて、税金の納付も可能です。
BA-PLUSというシステムを利用すれば、メイン口座以外に「プラス口座」として複数の口座を登録しておくことも可能。
最大20口座をまとめて管理できるので、取引先をジャンル別に分けておけば資金管理が楽になります。
さらに、Yahoo!ショッピングやヤフオク!ストア、クラウド型会計ソフトfreee会員向けには、専用のビジネスローンが用意されており、低金利でスピーディに(最短翌日回答)融資を受けることもできます。
ビジネスローンに関しては、こちらをご覧ください。
PayPay銀行 freee会員専用ビジネスローン
PayPay銀行のビジネスローン
PayPay銀行のビジネスアカウント利用者専用の「アスクル・インターネットショップ」も用意されていいます。
ここでは限定商品や、30〜80%オフのアウトレットセールでお得なアイテムを購入することができるのも魅力のひとつと言えます。
PayPay銀行のデメリット
PayPay銀行はネットバンクのひとつですので、メガバンクとは違い、実店舗がありません。
質問などがあるとき、直接対面して話をすることができず、基本的に電話またはメール対応となるため、これらが苦手な方にとっては使いにくいかもしれません。
また、銀行としての信用力という意味ではメガバンクに劣りますし、将来大規模な融資を受ける場合には、資金力の面でメガバンクに頼らざるを得なくなるという状況も起こります。
このようなケースでは、メガバンクでの取引実績を地道に積み上げてきた方が審査時に有利となります。
まとめ
メリットだけでなくデメリットについても書いてきましたが、将来にわたってもそこまで大規模な融資を求めないという中小企業・個人事業主にとっては、おすすめです。
手数料の面でも利便性からもPayPay銀行のビジネスアカウントを利用する価値は大いにあると言えます。
現在メガバンクの法人口座を使っている方も、PayPay銀行に切り替えることで大幅にコストを削減できる可能性があります。
口座解説や維持に手数料はかかりませんので、まずはその使い勝手を試しておくことをおすすめします。
